日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

市民教育

一般市民啓発活動の重要性

「早期離床は大切」「寝たきりは害」ということが、医療者の中では当たり前の概念となりました。しかし、当会が考える離床は、医療者が患者さんに提供するだけでは不十分であると考えます。理想は患者さん自身が自ら起きてくれる文化を築くために、一般市民への離床の啓発活動を行っています。

最新情報

  • 市民公開講座 川崎市「プロから学ぶ 寝たきり対策セミナー」開催レポートがアップされました。
  • 一般市民向けQ&Aがアップされました。
離床のススメダウンロード 市民講座レポート(活動) Q&A(一般市民向け)

市民公開講座 川崎市「プロから学ぶ 寝たきり対策セミナー」開催レポート

2021年5月29日川崎市のいこいの家御幸で、約2年ぶりの市民公開講座を行われました。

新型コロナウイルス感染症の影響がある中にも関わらず、約30名の参加者が集まり、関心の高さが伺えました。講座は、会議室の換気、参加者の検温、アルコール消毒の徹底など、万全な感染症対策を講じて行われました。

今回は、市民向けの書籍、「医療現場のプロが教える 世界一わかりやすい入院の教科書」より、寝たきりの弊害と万が一入院した際の備えておくべきことについて、約1時間の内容で伝えました。

たった数日でも寝たきりになるリスクがあることや、手術後でもなるべく早く動く重要性が説明されると、入院経験がある方からは、「もっと早く知りたかった」と真剣に聞き入っていました。

アンケートでは、わかりやすいプレゼンテーションが好評で、家族や知り合いにも聞いてもらいたいという声が多かったです。

また、疾患別(がん・脳卒中・整形疾患)の離床や具体的な運動についても、深く学びたいという意見もありました。

今後も「患者さんが自ら起きる文化」を築くために、多くの地域で開催できるよう、離床インストラクター、ファシリテーター、講師陣が一丸となって準備を進めていきます。

これまでの活動のレポートはこちら

離床のススメ

離床は入院期間短縮や入院費抑制が期待できますが、その重要性は一般市民に十分浸透していません。まだまだ、「入院中は安静」が常識として根付き、廃用症候群に陥って初めて離床の重要性を知ることになります。

離床文化の定着には入院前教育が必要であり、臥床(寝たきり)の弊害や離床のメリットに関して、一般市民教育グループが作成したリーフレット『離床のススメ』にまとめられています。

離床が入院による経済的負担の軽減に有効であることは、患者さんの興味を惹きやすい話題であり、教育の導入部分で伝えることがポイントです。

このリーフレットを活用して、得た知識を口コミで拡散してもらうことで入院前に必要な離床の知識普及を期待します。

離床のススメのダウンロード(PDF)はこちら

Q&A(一般市民向け)

Q1.大腿骨頚部骨折で手術をしました。以前は一人で買い物に行ったり、
趣味活動をしていましたが、無事に歩けるようになるでしょうか?

A1.骨折前の日常生活が送れる確率は、骨折前、日常生活がどのくらい自立できていたか、年齢、認知症の有無などにより影響を受けると言われています。
65歳以上で骨折前と同じくらい歩けるようになる方は67%と言われております。
 大腿骨頚部骨折の手術後のリハビリは下肢の筋力が、歩行や立ったり座ったりする動作がどのくらい回復するかに影響を与えるので、段階的な歩行トレーニングに合わせて筋力強化を図る必要があるいわれております。また転倒により骨折した方の再発率は高いと言われていますので入院中のリハビリテーションは当然の事ながら重要ですが、退院した後も継続して自主トレーニングを行うことをお勧めします。

Q2.入院する前はお金の管理もして、一人暮らしをしていたのに、どうして点滴を抜いたり、暴れたりしたのでしょうか?

A2.入院して、点滴治療や環境が変わることで、自分が置かれている状況がわからなくなって今日のようなことが起こります。入院時せん妄と言って、入院して間もない高齢の方に起こりやすく、夕方から夜にかけて家に帰ろうと動き回ったり、点滴や尿を出す管を触ったり、自分で抜いてしまうこともあります。今、ご家族の顔を見て落ち着かれています。入院時せん妄は数日で落ち着く事がおおいのですが、認知障害を残すこともあります。ご家族の関わりで症状を抑えることも出来るので、可能であれば、夕方から寝る前にかけて側で見守っていただけると助かります。睡眠導入剤なども使って、夜に眠れる環境を作っていきたいと思います。

Q3.もうすぐここ(急性期)を追い出されて、違う病院(回復期) に行かされるみたいなんですけど、最後までここに置いてもらえないですか?(整形外科、大腿骨頚部骨折)

A3.病院は大きく分けて急性期、回復期、維持期があり、それぞれで役割が違います。当院のような急性期病院はケガをした直後の方が運ばれてくる所で、手術・点滴などの治療が終了すれば退院になります。しかし、自宅退院に向けてリハビリがもう少し必要な方には、リハビリを専門に行う回復期病院に移り積極的にリハビリを行ってもらいます。回復期病院へ転院できる期限は決められており、転院待ちの方もいるので、好きなタイミングで転院することは難しいです。
安全に自宅生活を送るためには、回復期病院でもう少しリハビリを続けた方がいいと思います。転院先の先生には今までの経過を書いた手紙を送るので安心してください。