日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.736 【その制限、本当に“筋”だけ?】ROMエクササイズに関するQ&A

質問

肩関節外転制限のある症例に、ROMエクササイズを自動・他動で継続していますが、70度くらいで停滞してい改善が得られません。次にどのようにアプローチしていけばよいでしょうか?

回答

70度付近で外転が停滞する場合、単純な可動域不足として反復しても改善しないことが少なくありません。

まず考えるべきは、制限因子が本当に三角筋や関節包の短縮なのかという点です。外転70度前後は、肩甲上腕関節の純粋な動きから、肩甲骨の上方回旋が本格的に関与し始める移行域でもあります。この段階で止まる場合、肩甲胸郭関節の可動性や、前鋸筋・僧帽筋下部線維の機能不全が影響している可能性があります。まず他動での終末感を丁寧に評価します。弾性のある張りであれば軟部組織、鋭い痛みで止まるなら滑液包や腱板、脂肪体などの炎症、しびれや放散感があれば神経系の関与も疑います。

また、体幹側屈や肩甲骨の補助を加えた際に角度が変化するかを確認すると、局所制限か連動の破綻かが見えてきます。アプローチとしては、単純な挙上運動を繰り返すのではなく、肩甲骨の上方回旋・後傾を誘導しながらの外転練習へと切り替えます。壁を利用した閉鎖性運動連鎖で前鋸筋の活動を引き出す、側臥位で肩甲骨の可動性を改善するなど、肩甲胸郭リズムを整えることが有効です。

同時に、痛みが関与する場合は炎症コントロールを優先し、負荷量を調整します。可動域は力で押し広げるものではなく、運動連鎖が整った結果として拡大します。70度で止まる理由を構造と機能の両面から再評価し、狙いを定めた介入へ移行することが次の一手になります。

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