日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.693 【何が正常で、何が異常?】胸郭をユニットで捉える重要性

質問

そもそも、胸郭運動システムとはどんなシステムですか?離床とどのような関係があるのですか?

回答

胸郭運動システムとは、胸郭が脊柱や骨盤など他の分節と関連しあい、複合的に機能しながら運動することを言います。

胸郭運動システムをみるにあたり、肋骨の動きに着目するのが重要です。肋骨の動きは、吸気で生じるような胸郭が広がる運動方向を後方回旋、呼気でみられる運動方向を前方回旋として定義されています。この肋骨運動は胸椎レベルでのわずかな運動と連動して生じます。

例えば、右側の大胸筋と前鋸筋を選択的に収縮した右肩甲骨の外転前傾運動をした場合、上位胸椎の右回旋と下位胸椎の左回旋を僅かに伴い、肋骨は右上位肋骨と左下位肋骨は前方回旋位となり、左上位肋骨と右下位肋骨は後方回旋します。この場合、上位胸椎と下位胸椎の境目は第7胸椎にあり、そこで回旋運動の切り替えがあるとされています。これらの運動が滞りなく動きが円滑に起こせる状態が重要で、胸郭運動システムが正常な状態といえます。

一方で、胸椎と上位肋骨および下位肋骨、そして浮遊肋に至るまで胸椎と連動して生じる動きが過少になると異常な状態です。この異常な状態になると胸郭運動の滑らかな動きが制限され、肺の動きにも影響するため、離床時の息切れにもつながることがあります。呼吸リハビリテーションにおけるコンディショニングの一環として、胸郭の可動域練習を行うことがありますが、肋骨の動きも意識してみてみましょう。

また、胸郭運動システムは、胸郭の運動に伴い生じる関節運動であるため、体幹の回旋運動の制限にもつながります。これらの制限は、左右どちらかへの寝返りのしにくさなどにもつながり、離床の停滞や活動量の低下を招く可能性があります。

この胸郭運動システムに異常のあるケースに対して、肋骨の回旋を意識したアプローチを行い、胸郭のゆがみが取れると、呼吸苦の改善、離床の促進、活動量の増加につながる可能性があります。胸郭を肺を収める箱と捉えるのではなく、離床や呼吸の活動を支えるユニットとして考えて、評価・アプローチの対象と考えるようにしましょう。

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