質問
身体抑制を減らすことに関して、エビデンスのある方法はあるのでしょうか。
回答
身体抑制が有効とする明確なエビデンスはありませんが、身体抑制を減らすことに関するエビデンスは報告されています。身体抑制は。医療デバイスの自己抜去予防等の安全確保のために行われていますが、その効果についてのエビデンスはありません。また、医療デバイスの自己抜去の発生が、患者の予後に与える影響についても科学的に明らかになっていません。
一方で、身体抑制における倫理的問題は明らかですので、患者さんへの益と害のバランスを考えると、身体抑制は避けるべきと考えられます。身体抑制の実施には、その施設における看護師・スタッフの考え方や、実践方法などが大きく影響を与える可能性があります。以前発表されたシステマティックレビューでは、看護教育などの介入によって身体抑制の実施を約50%減らすことができる可能性があることが示されています(文献1)。患者さんの身体的・心理的な負担を軽減して離床につなげるためにも、このような報告を参考に、身体抑制を減らす取り組みを行う必要があると考えます。
文献1 Zenan M Franks et al. Physical Restraints and Post-Traumatic Stress Disorder in Survivors of Critical Illness. Ann Am Thorac Soc. 2021 Apr;18(4):689-697.
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