日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A vol.90小児に対する呼吸介助手技の考え方

Q90.小児に対する呼吸介助手技はどのように考えればいいでしょうか?

A90.呼吸介助手技は臨床上、適応をしっかりと見極めた上で、 実施することが大切であることは講義でお伝えしました。 当会では適応は以下の様に定めています。1;中枢気道付近いある痰をより中枢側へ移動させたいとき (例:気管内吸引を施行しても痰の部位まで届かない場合)2;深呼吸を促通したいとき (例:術後疼痛により1回換気量の少ない浅い呼吸パターンを示している場合)3;呼吸困難感を軽減させたいとき (例:動作時の息こらえが出現した後や、動作後の呼吸苦がある場合)以上を踏まえた上で、 もう一度小児領域での呼吸介助手技を考えてみましょう。 小児領域とは、幼児、乳児、低体重出生児など体型はさまざまです。 幼児では片手で、乳児や低体重出生児では指数本で呼吸介助手技を実施します。 成人の胸郭とは大きさや運動方向が異なるため、 体格に応じて指の数や手の当て方を工夫する必要があります。 手をあてて、運動方向を確認し、その方向へついていくように 押していくという原理は成人と同じです。 ただし、実施に際しては胸を押すリスクとベネフィットを しっかりと考える必要があります。 特に新生児期に対しての呼吸介助は肋骨骨折の危険性が高く 十分なエビデンスがある訳ではありません。 臨床的には呼吸器合併症の予防・改善に 体位変換と吸引を併用することが主となります。 勿論、予備力の低下している児では体位変換後の姿勢がストレスにもなり得るため、安楽な体位であるか、 十分な評価とディスカッションが必要です。