日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A vol.89バイレベルモードの原理

Q89.バイレベルモードで2つのPEEP圧を設定することで、強制換気になるというところがしっかり理解できませんでした。詳しくおしえてください。

A89.まずはPEEP(呼気終末期陽圧)から整理しましょう。 PEEPは日本語の通り、最も気道内圧の下がる呼気終末に、 陽圧をかけて肺胞の虚脱を防ぐ機能です。 例えば5cmH2OのPEEPを設定したならば、 患者さんは常に5cmH2Oの圧を受けており、 その中で自発呼吸あるいは強制換気を行うことが可能です。 バイレベルというのうは、低圧と高圧2つのPEEP圧の設定をして、 患者さんの呼吸とは無関係に一定時間で低圧と高圧を繰り返すモードです。 患者さんはどの時間帯でも、通常のPEEPと同じく自発呼吸をすることが可能です。 それ以外に、この2つのPEEP圧に切り替わる際に、 強制換気が行われます。つまり、低圧から高圧に切り替わると 肺胞は膨らみ(吸気)、逆の場合は肺胞がしぼむ(呼気)からです。 バイレベル効果は、換気量の増大、換気血流比不均等の改善、 設定によっては酸素化の改善などといわれています。 講義でお伝えした、基本の3モードに当てはめると、 「自発+強制」という概念になります。 実際の臨床では、どのようなモードということで終わらず、 「どのような病態だから、このモードが使われている」という、 モードの裏に隠れている病態を読み解くことが重要ですので、必ず併せて考えるようにしてください。