日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A vol.81人工股関節全置換術後(THA)のADL指導について

Q81.人工股関節全置換術(以下:THA)の術後に、靴下の着脱や爪切り動作などを練習する際、いつから練習をすればよいか、病棟やリハビリスタッフの間でも意見が分かれています。いつから、どのような点に注意すればよいでしょうか?

A81.THA術後のADL指導は、退院後の安全な生活を送る上で非常に重要です。では具体的にはいつから指導していけば良いのか。脱臼に注意すれば、早期よりADL練習を行うことは可能です。ただし、その際の注意点として2点あげられます。1点目は、獲得している股関節の角度が重要となります。屈曲角度が小さいのに無理やり理想とする動作を指導することは、痛みを誘発するだけですし、いつまで経っても動作の獲得が困難です。よって、現状の関節可動域を把握した上で、その角度に見合った動作の練習をしていくことが望ましいでしょう。2点目は脱臼予防といった点で、外旋筋の保護が重要となります。90°以上の屈曲をしないように自助具などを使用し安全に行うことをお勧めします。