Q78.エアブロンコグラムのメカニズムを教えてください。本来見えない気管支の影が、なぜ見えるようになるのですか?
A78.本来、健康な肺実質の中には空気が存在します。さらに肺実質に空気を送る気管支という空気の通路が存在します(気管支の中に空気が存在するイメージ)。
よって、正常であれば、肺の末端まで気管支の影を追うことは難しくなります。ただし、気管支壁が5㎜以上ある主気管支、左・右主気管支、上・中・下葉へ分岐していく中枢の気管に限っては、気管支壁が判別つくために、レントゲンでも目で追うことが可能となります。ご質問のエアブロンコグラム(気管支透亮像)という状態は、肺炎や肺水腫、ARDSなど肺内に病変がある場合、肺の中が浸出液等で水浸しの状態になっているとイメージしてください。その水浸しになっている肺の中に、空気の入った気管支が存在しているわけです。そのため本来見えないはずの気管支が、末端まで目で終える現象が生じます。例えると、水の入った水槽(肺内が水浸しの状態)の中に、空気を含んだストロー(気管気)を沈めます。この状態を上から見ると、はっきりと空気の通り道が判別つきます。これがエアブロンコグラムという状態になるわけです。