日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A vol.74敗血症スクリーニングと呼吸回数

Q74.敗血症をスクリーニングするための指標として呼吸数のアセスメントについて話をされていましたが、もう少し詳しく教えてください。

A74.敗血症は死亡率の高い疾患であり、早期に把握し治療を開始することが治療成績に直結します。そのため、ICU以外の場所で疑いをかけ確実に拾い上げる必要があります。敗血症は2016年に「感染に対する宿主生体反応の調整不全で、生命を脅かす臓器障害」と定義が改訂されました。また、ICU以外の現場で敗血症を把握するための新たなスコアとしてquick SOFA(qSOFA)スコア1)が導入されています。
チェックする項目は呼吸・循環・意識の3つで、
①呼吸回数22回/分以上②  収縮期血圧100mmHg以下③  精神状態の変化の有無を確認
上記の2つ以上の項目が該当すれば集中治療の必要性を検討します。
qSOFAは呼吸数、血圧、脈拍、意識レベル、体温というバイタルサインのうち3つから構成されるものであり、特別な検査などなく簡便に用いることが可能です。また、簡便な検査にも関わらず、ICU以外で感染が疑われる患者に対してはSOFAスコアよりも死亡予測能が高いという報告もあります2)
その一方で呼吸数は正確に測れていない可能性が高いバイタルサインの一つとしてよく取り上げられます。呼吸数はバイタルサインのうち、唯一意識すれば自身でコントロールできてしまう指標です。また、最近の報告では、入院患者の呼吸回数の記録は、不自然に18回/分と20回/分が多いという研究3)もあります。
私たち医療従事者は、呼吸数が重要な指標であるということをもっと認識し、正確に測定するためのトレーニングをしないといけないですね。

1. Singer M, et al. The third international consensus definitions for sepsis and septic shock (sepsis-3). JAMA. 2016; 315: 801-10.

2. Seymour CW, et al. Assessment of clinical criteria for sepsis: for the third international consensus definitions for sepsis and septic shock (sepsis-3). JAMA. 2016; 315: 762-74.

3. Badawy J, et al. Is everyone really breathing 20 times a minute? Assessing epidemiology and variation in recorded respiratory rate in hospitalised adults. BMJ Qual Saf. 2017 Jun 26. [Epub ahead of print]