日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A vol.72脳血管攣縮予防の管理について

Q72.くも膜下出血術後管理として、超音波やCVPをみています。これらはいずれも脳圧をみているのでしょうか?

A72.結論としては、どちらも直接脳圧を診ているわけではありません。

超音波は、経頭蓋超音波ドップラー(Transcranial Doppler : TCD)のことを指し、側頭骨より機器を当て、中大脳動脈、前大脳動脈、後大脳動脈の血流速度や、カラードプラによる逆流などを診ています。

血流速度が通常より速い場合、血管の狭窄(くも膜下出血後の場合は攣縮)を疑います。中大脳動脈での平均血流速度 120cm/s 以上が中等度の脳血管攣縮を疑う指標となります。

また、CVP:中心静脈圧は右心房圧を反映しており、正常値は 4~8 mmHgくも膜下出血後は 8~12 mmHgが目標値とされます。(目標値は施設により異なります)

つまりやや体水分をプラスバランスに管理し、循環血液量を維持することを目的とします。これも脳血管攣縮の予防のためです。

 いずれの検査も脳血管攣縮の確定診断は困難であり、確定診断には血管撮影が必要となります。

 加えてフィジカルアセスメントによる麻痺の進行や意識レベルの変動も重要な所見となります。

 検査値と併せてチェックし、急変予測に活かしてみてください。