日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

神戸大学災害救急医学分野 中西信人

日本離床学会認定指導医のすすめ   

神戸大学災害救急医学分野 中西信人

日本離床学会では2022年から医師を対象に「日本離床学会認定指導医」というのができました。「日本離床学会認定指導医」って何?と思われるかもしれませんが、離床に精通した医師を増やしていくのが目的です。それではなぜ離床に精通した医師が必要なのでしょうか。

近年の早期離床に関する論文を紐解いてみます。

NEJMの2022年の論文では早期離床をした方が有害事象が多いという結果がでました。
Early Active Mobilization during Mechanical Ventilation in the ICU
N Engl J Med. 2022 Nov 10;387(19):1747-1758.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36286256/

一方で2023年のThe Lancet Respiratory Medicineでも同様に早期離床をした方が有害事象が多いという結果がでております。
Effect of early mobilisation on long-term cognitive impairment in critical illness in the USA: a randomised controlled trial
Lancet Respir Med. 2023 Jan 20;S2213-2600(22)00489-1.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36693400/

これらは決して離床が有害なものといっているわけではありません。
実際に2023年のThe Lancet Respiratory Medicineの論文では早期離床をすることで長期的な身体機能、認知機能が改善したという結果が報告されております。

つまり、私たち医療従事者は有害事象を起こさないように注意しながら、早期離床を行っていく必要があると考えます。

日本離床学会では早期離床の開始基準、中止基準、さらには最新のエビデンスについて様々な発信をしております。約7000人の理学療法士さんが日本離床学会で活動されておりますが、やはり特に重症患者さんの離床は多職種で評価や実施する必要があります。

安全で有効な離床の提供のためには離床に精通した医師を増やしていく必要があります。そのため日本離床学会認定指導医という存在が重要になります。

医師の皆さん、是非離床のチームビルディングを行えるような医師を目指せませんか。
日本離床学会認定指導医は初期研修医を修了しておれば他の専門医がなくても、学会参加などの20ポイント、筆記試験をクリアすれば取得できます。

認定指導医申請に関するお知らせなどは、メーリングリスト登録すると受け取ることができますので、下記リンクからご登録ください。
https://www.rishou.org/doctor_members#/

一緒に日本の離床をよくしましょう!!