日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【新しい機能で歩行を改善】足関節装具に関するエビデンス

脳卒中後の患者さんに使用されることのある下肢装具は、関節の動きを制動するのが目的ですが、制動の仕方によって効果は変わるのでしょうか。そんな脳卒中後の下肢装具について、興味深い報告が届きました。

この研究では、プラスチック短下肢装具について、足関節を固定した従来のタイプと、足関節の部分に油圧式ダンパーが付いたタイプでの歩行の比較をしています。油圧ダンパー付きタイプは、つま先を上げる「背屈」の動きは自由にできる一方で、足先が下がる「底屈」方向には油圧による抵抗がかかる仕組みになっています。これにより、歩行時の下垂足を防ぎながら、必要以上に動きを止めずに自然な足首の動きを引き出すことができる装具です。

結果は、油圧ダンパーが付いたタイプは、歩行立脚期の背屈が大きく、運動学的により正常歩行に近い動作練習ができていたということです。装具は動きを止めるだけではなく、患者さんの機能に合わせてデバイスを選択することで、より効果的な動作練習ができると感じる研究です。日々、装具の世界は進歩しているので、いつも新しい知識を持っていたいものですね。

下記原典では、実際の装具の写真と歩行時のデータを見ることができ参考になります。是非、ご覧ください。

Sumiko Yamamoto et al. Ankle-foot orthosis with an oil damper versus nonarticulated ankle-foot orthosis in the gait of patients with subacute stroke. J Neuroeng Rehabil. 2022 May 26;19(1):50.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9137172/

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