日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【可動域と筋力だけではダメ】膝OAに関する最新エビデンス

変形性膝関節症(膝OA)の患者さんは、姿勢の安定性やバランス能力が低下することが明らかになっていますが、具体的にどんなところに注意すべきなのでしょうか。そんな膝OAによる身体機能の変化とバランス能力について、興味深い報告が届きました。

この研究では、膝OAの人50名を対象に、膝OA患者さんの膝関節固有感覚と安定性限界について、健常人との違いについて調査しています。安定性限界とは、姿勢の不安定性を評価する検査法で、転倒のリスク評価にも使用されています。その結果、健常人に比べ、膝OAの患者さんは、膝関節固有感覚と安定性限界が低下していることが分かりました。

また、膝OA群は、膝関節の位置覚誤差が増加し、安定性限界に影響を及ぼす結果になったと報告されています。膝OAの患者さんに対して、可動域や筋力だけではなく、固有感覚を意識したアプローチも重要だと感じる研究です。具体的には、固有感覚に着目したDYJOCトレーニングなどのアプローチを、戦略的に展開することが重要だと感じる情報ですね。

下記の原典では、各評価の具体的な方法や安定性限界の説明や評価方法などを見ることができ、参考になります。是非、ご覧ください。

Abdullah Raizah et al.Investigating Knee Joint Proprioception and Its Impact on Limits of Stability Using Dynamic Posturography in Individuals with Bilateral Knee Osteoarthritis—A Cross-Sectional Study of Comparisons and Correlations J Clin Med. 2023 Apr; 12(8): 2764.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10146398/

この情報が皆さんの診療に役立つことを願っております。

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