日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.728 【まず痛みの逃げ道を作る】整形疾患の筋緊張亢進と痛みに関するQ&A

質問

頚椎症性神経根症により、頚部から肩・上肢にかけて痛みがあり、僧帽筋や肩甲帯周囲の筋緊張が強くなっている患者さんがいます。この場合、筋緊張を下げるアプローチと疼痛への対応、どちらを優先すればよいでしょうか?

回答

結論から言うと、まずは疼痛を増悪させない環境づくりを優先すべきです。頚椎症性神経根症では、神経根への機械的刺激や炎症により上肢の放散痛が出現し、それに対する防御反応として、頚部・肩甲帯の筋緊張が亢進しやすくなります。この段階で、「硬いからほぐす」「緊張が強いからストレッチする」といった介入を行うと、疼痛刺激がさらに加わり、かえって筋緊張が高まるケースも少なくありません。

そのため第一段階では、頚部の過伸展・回旋を避けた姿勢調整や、上肢支持を用いた負荷軽減、症状が出にくい頭頚部アライメントの探索を優先します。具体的には、座位での軽い前屈位保持や前腕支持、肩甲帯をすくめずに「預ける」ような支持の工夫を行い、神経根への刺激と疼痛入力を減らしていきます。この過程で、僧帽筋や肩甲挙筋の過剰な緊張が自然に低下し、結果として筋緊張亢進の背景にある疼痛要因が整理されていきます。

その後、痛みが落ち着いてきた段階で、肩甲帯の軽い可動練習や、深部頚筋の低負荷な筋活動を導入し、再び疼痛を誘発しない範囲で筋活動の再学習を進めていきます。つまり、
先に筋緊張を下げにいくのではなく、痛みを強めない条件を整えた結果として緊張が下がる流れを作ることが、頚椎症性神経根症では重要な考え方になります。

是非、筋緊張と疼痛が同時にみられる症例のアプローチを考える際のヒントとして活用してみてください。

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