
質問
脳卒中による上肢の麻痺がブルンストロームステージ3の患者さんで、リーチ動作がうまくできない患者さんがいます。麻痺や体幹のレベルに応じて、どんなアプローチをすれば良いでしょうか。
回答
ブルンストロームステージ3では、肩の屈曲と肘の伸展を組み合わせたリーチは、いわゆる「屈曲シナジー」から外れた動きになるため、いきなり座位で手を伸ばさせようとしてもうまくいきません。そのため、まずは屈曲シナジーを弱められる姿勢づくりと、体幹・肩甲帯のコントロールからアプローチしていくことが大切です。
具体的には、背臥位や側臥位で体幹を安定させた状態で、肩甲骨の上方回旋・外転、肩関節の軽度屈曲・外転位をつくり、そこにスタッフが肘伸展をガイドしながら前方リーチの準備運動を行います。このとき、指や手関節の過度な屈曲を促さないように、前腕中間位~軽度回外、手指は軽く伸展し、前腕回内・手指屈曲が入りにくい肢位を意識しましょう。
次に、座位でのテーブルスライドなど、支持面を利用したリーチ練習に移行します。肘と前腕をテーブルに乗せ、滑りやすいタオルやボードの上で、体幹前傾と連動させながら肘を伸ばしていくと、屈曲シナジーを抑えつつ前方リーチが出しやすくなります。最初は小さな可動域から始め、徐々にリーチ距離を伸ばしていきます。
また、両手でタオルをつかんで前方に押し出す、ボールを転がすなど、健側上肢との両手課題を用いると、体幹の安定と肩の前方方向への動きを誘導しやすく、段階的に「肘が伸びた状態で前に手を出す感覚」を学習できます。ポイントは、「リーチができない腕」そのものを責めるのではなく、屈曲シナジーを弱められる姿勢・環境を整えたうえで、体幹・肩甲帯と協調したパターンとして肘伸展を引き出していくことです。
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