日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.715 【1つの数値で判断しない!】複数データで読む“フィッシャー比”と肝障害のQ&A

質問

肝障害患者さんの栄養評価では、アルブミンなど単一の栄養指標だけだと判断に迷います。複数のデータを組み合わせて読むうえで、何を指標に、どう活用すればよいですか?

回答

肝障害患者さんの栄養評価でお勧めは「フィッシャー比」です。フィッシャー比とは、活動時のエネルギーとなる血中分岐鎖アミノ酸を、タンパク質の構成やホルモンのもととなる血中芳香族アミノ酸で除して求めた比率です。健常者では、この比率は3から4で分岐鎖アミノ酸が多い状態で一定に保たれますが、肝障害では分岐鎖アミノ酸が分解され、反対に芳香族アミノ酸が増えるため比率が崩れ、フィッシャー比が低下します。

フィッシャー比は、肝代謝・予備能の指標、肝障害の重症度判定に有用とされていて、1.8未満では肝障害低下の目安となります。ただし、フィッシャー比“だけ”で判断するのは危険です。肝障害の評価では、Alb、Bil、PT-INR、NH₃、血糖、電解質、腎機能なども合わせて見て、複数のデータをセットで読むことが重要です。

フィッシャー比が低値の場合には、分岐鎖アミノ酸を豊富に含む経腸栄養剤や点滴製剤を用い、必要なアミノ酸を是正します。それにより肝臓でアルブミンという蛋白が合成促進され、予後改善につながるとされています。また、分岐鎖アミノ酸の投与はアンモニア代謝を改善するため、肝性脳症が改善するともいわれています。現在処方することのできる分岐鎖アミノ酸製剤には、点滴製剤・経腸栄養剤・顆粒製剤などがあり、患者さんに合わせて選ぶことができます。

非代償性肝硬変や劇症肝炎など、フィッシャー比低下がみられる患者さんのデータと全身状態を複数照らし合わせて、離床の負荷はチームで慎重に検討しましょう。

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