日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.707 【離床をとまるべき時とは】肺炎に関するQ&A

質問

肺炎の患者さんで離床を進めてはいけない時はどのようなときですか?

回答

ズバリ結論から言うと、酸素に“がっつり”頼っている時と、炎症が“燃え盛っている”時です。「それは分かってるけど…」を思われるかもしれませんが、この2つの状態、なんとなく雰囲気で判断していませんか?実は 数字で“危険シグナル”がハッキリ出ることがあります。

まず、酸素に“がっつり”頼っている時は、人工呼吸器やNPPVを使用していてFIO₂が「0.7以上から下げられない」場合です。この時期は肺を守ることが最優先。本人の自発呼吸をあえて抑え気味にしてでも、過剰な呼吸努力をさせないほうが安全です。つまり、立たせる・歩かせるなどの強い離床は控えめに。

炎症が“燃え盛っている”時のサインは、38℃以上の発熱が続く、CRP 5 mg/dL以上です。この状態で負荷の強い離床をしてしまうと、身体は動くための“タンパク質”ではなく、炎症と戦うためにどんどんタンパク質を使ってしまいます。つまり、頑張るほど 「筋肉が削られる」悪循環 に。だからこの時期は、「ADLレベルの軽い離床」にとどめる ことが鉄則です。

肺炎だから離床ができないわけではありませんが、呼吸と炎症の状態をしっかりと見極めて、離床レベルを慎重に検討するようにしましょう。

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