
質問
Pusher現象のある患者さんの離床で、立位練習を行うコツはありますか?
回答
バイオメカニクスの観点からは、「視覚的フィードバック」と「床反力ベクトル」の活用がお勧めです。
「視覚的フィードバック」では、壁の近くで立位練習を行うことや、点滴棒を目の前に置くことで、患者さんに自身の身体の傾きが理解しやすいような、環境設定をすると、Pusher反応や姿勢の修正が行いやすくなります。
「床反力ベクトル」では、麻痺側の支持性がないと立位姿勢の修正は難しいため、長下肢装具を使用するのがお勧めです。その上で、非麻痺側の荷重ベクトルを、麻痺側に押すのではなく、非麻痺側に骨盤・体幹がシフトして、荷重を受けとめる感覚を繰り返し練習する必要があります。
さらに、立位練習の場面で、手で手すりや台を支持すると、Pushする反応が強くなる場合は、あえて非麻痺側上肢の支持はなしにして、荷重練習を行うことも有用です。
Pusher現象の重症度に応じて環境を工夫して、2つのポイントを意識してアプローチを行ってみてください。
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