日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.661 【すくみ足にどう介入すべきか】パーキンソン病に関するQ&A

質問

パーキンソン病の患者さんのすくみ足に対して、手拍子などのリズム刺激によって、改善する人と改善しない人はどんな違いがありますか?

回答

リズム刺激で改善しない人は、リズムは作れているけれど、身体がうまく反応して動かせないと予測できます。歩行は、常に脳からの動作の計画-実行という指令が出ているわけではなく、CPG (Central Pattern Generater)という決まった運動を脊髄レベルの神経回路で、リズミカルかつ自動的に行っているといわれています。

パーキンソン病の患者さんは、このCPGがうまく働かずに、すくみ足となっていることがあり、CPGの自動的な運動パターンが働くためには、動作の“きっかけ”が必要です。身体の機能がある程度保たれている場合は、手拍子や床の線など聴覚・視覚刺激によって、動作の“きっかけ”を作ることで、リズミカルな歩行につなげることが期待できます。

質問にあるリズム刺激で改善しないケースでは、パーキンソン病の進行に伴い、姿勢反射障害や筋強剛が重症化して、身体機能としてリズムに反応ができないと考えられます。姿勢反射障害や筋強剛が重症化した状況で、CPGが働いたリズミカルな歩行を獲得するためには、体幹が伸展し、立脚中期から後期に股関節伸展・足関節背屈を促すことが重要です。

リズム刺激だけで改善しない場合は、股関節伸展・足関節背屈を意識し介助を行うこと、補助具を使用して重心をコントロールして動きやすいアライメントに整えることで、リズミカルな歩行が改善するかどうか試してみてください。

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