質問
糖尿病患者さんに対するスティグマに対して、アドボカシーが重要と聞きましたが、どのような意味ですか?
回答
スティグマとは、特定の特性や状況に対して、社会的に否定的なレッテルを貼られることを指します。
「肥満や甘いものの食べ過ぎなど、本人の努力不足でなる病気」「糖尿病のない人と同じように食事や仕事ができない」などのスティグマは、自己肯定感の低下を引き起こしやすくなります。医療従事者からの「自己管理ができない人」というスティグマによって、医療機関から足が遠のく原因となり、治療開始のタイミングが遅れて、重症化につながる場合もあるのです。また、進学、就職、結婚、生命保険の加入、住宅ローンの審査において不当な扱いを受け、社会的孤立を抱える要因となります。
スティグマの解消につなげるためには、糖尿病に対する正しい理解を広め、糖尿病患者さんが生き生きと生活できる社会を目指すアドボカシー(擁護・支持)活動が必要です。また、誤った理解につながる「糖尿病」という病名自体や、「療養指導」「糖尿コントロール」といったスティグマをもたらす、糖尿病医療用語を見直すプロジェクトも活動の一環として開始されています。
医療従事者として、決して患者さんの不摂生や努力不足を原因とするのではなく、糖尿病が遺伝的要因や環境要因も関与する、複雑な要因のもとに起こる病気であるという理解が必要です。そして、患者さんの尊厳を守り、安心して治療を受けられる環境を整え、サポートすることが糖尿病患者さんの離床・ケアを進めるコツだと言えます。痴呆が認知症に変わったように、糖尿病も使われなくなる時代がもうすぐそこまで来ているかもしれませんね。
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