日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.602 【昇圧と降圧を同時に!?】心不全の離床に関するQ&A

質問

心不全で昇圧剤と降圧剤(Ca拮抗薬)が同時に投与されている患者さんがいました。この患者さんの離床を進めるときに、血圧の上昇と低下、どちらに注意すればよいでしょうか?

回答

血圧の低下に注意しましょう。昇圧剤と降圧剤が同時に投与されているというのは、一見矛盾しているようですが、臨床ではそのような戦略がとられることがあります。昇圧剤はカテコラミンとも呼ばれ、低心拍出状態に対して、心臓の収縮力を高める作用があります。

しかし、いくら心収縮力を高めても、動脈硬化や交感神経活性で血管が収縮していると、血液をうまく送り出せません。そこで、降圧剤を投与されていると考えられ、このケースで使用されているCa拮抗薬は、血管拡張作用があり、血管を拡張して、心拍出量の低下を予防していると考えることができます。つまり、名前は“降圧”の薬を使っていますが、治療方針としては血圧を上げて、血液を効率よく送り出せるようにしていると考えられます。

まとめると、このケースは低心拍出がメインの問題で、血圧を上げる目的で薬物療法が行われているので、離床時には姿勢変化による「血圧低下」に注意しましょう。

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