日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.594 【併用療法後の離床は何に注意?】がん治療に関するQ&A

質問

がん治療の化学療法や放射線療法の併用療法後の離床時に気を付けるべき症状は何ですか?

回答

併用療法後の離床は、ズバリ、骨髄抑制と消化器症状に注意しましょう。化学療法や放射線療法の併用療法の場合、化学療法における副作用と放射線療法における副作用の両方が起こり得ます。また、同時に2つの治療を行うことで、効果の向上が期待されるのに伴い、副作用も強くみられる場合があるので注意が必要です。

化学療法による主な副作用としては、骨髄抑制が挙げられます。骨髄抑制では、白血球、赤血球、血小板の数値が低下し、感染症のリスク増加や出血傾向、貧血などが生じます。血液検査の数値によって、運動制限や環境整備が必要になります。血小板の値が2万/ μL程度では、抵抗運動によって筋肉や関節内に出血する可能性があるため、有酸素運動を中心としましょう。1万/ μL以下では積極的な運動は控え、ADL維持程度の離床に留めるべきです。また、白血球の減少は感染リスクが高まります。特に好中球が500 / μl以下の場合は感染予防対策として、クリーンルームにおける管理も必要となります。

放射線療法では、放射線による腸の粘膜損傷の影響により、下痢などの消化器症状が生じます。下痢は、電解質バランスの崩れや脱水を引き起こす場合があるので、離床時は、めまいやふらつきが生じやすいことを考慮して慎重に進めなければなりません。さらに、放射線療法では、皮膚に水ぶくれができることもあるため、皮膚の状態にも配慮が必要です。

がんの治療による症状に留意しつつ離床を促し、治療後のデコンディショニングを最小限にすることが重要だと思います。参考にしてみてください。

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