質問
バランス練習をADLや応用動作につなげるには、どのような課題を実施するのがよいでしょうか。
回答
同じ課題でも、環境や難易度を変えて実施するのがお勧めです。例えば、杖歩行でのバランス能力を向上させたい場合、立位保持のような静的バランスだけでなく、方向転換や急停止、横移動などの動的なバランス能力が必要となります。それだけでなく、どの程度の支持基底面を確保できる支持物であれば歩行が可能か、屋外などの不整地な状況でバランスを保てるかなど、環境面も考慮しなければなりません。
では、ADLや応用動作につなげるには、どのような課題が良いのでしょうか? 通常、バランス評価に基づいて課題を考えると思いますが、皆さんは臨床で、どのようなテストを行いますか?
Functional Reach Test(FRT)やTime Up and Go test(TUG)が良く行われていると思います。どちらも簡便に実施でき、カットオフ値もあるため、バランステストとして優れていますが、ADLにつなげる課題を見出すには少し難点があります。難点とは、FRTは上肢の前方到達課題しか見ていないので、重心移動能力しか評価ができないこと、TUGは立ち上がりと移動する能力は見れますが、バランスの他の要素の評価という点では、不十分な面があります。
そこでお勧めは「基本バランス能力テスト」です。「基本バランス能力テスト」は望月ら(文献)により開発されたバランステストで、信頼性・妥当性も認められています。このテストの利点は、座位・立位・歩行において、系統立てて静的あるいは動的なバランスを評価できることです。加えて、左右・前後方向へのステップ、開眼・閉眼など、ADLや応用動作に必要な要素をみることができ、課題となる苦手な要素の評価に優れています。このテストの項目について実施可能か困難かを一つずつ評価し、その方にあった課題を設定し、練習積み重ねることで、ADLや応用動作の獲得につながっていくはずです。参考にしてみてください。
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