質問
転倒予防の戦略には、サイドステップとクロスオーバーステップがあるということですが、どちらのステップの方が安全ですか?
回答
サイドステップの方が、安全性が高いと言えます。その理由は、サイドステップとクロスオーバーステップを比較するとわかりやすいでしょう。
支持脚とは反対側に遊脚を移動させるサイドステップと、支持脚と同方向に遊脚を移動させるクロスオーバーステップを比べると、サイドステップの方が、支持基底面が広くなり、バランスがとりやすくなるため安全といえます。ただサイドステップは、遊脚を床から浮かせる際に、支持脚を瞬時に強く踏ん張ったうえで、遊脚を踏み出す方向とは反対側に重心を移動させてステップを踏み出さなければなりません。
この動作には、特に股関節外転筋力が必要です。加齢に伴って股関節外転筋力が低下しやすい高齢者にとっては、サイドステップは難しい動作となり、クロスオーバーステップでの戦略をとりがちです。実際に、高齢者は方向転換時において、クロスオーバーステップを用いやすいことが報告されています(文献1)。
サイドステップを日常的に活用していくためには、股関節外転筋力の向上とともに、股関節伸展時の推進力も欠かせません。体幹の安定性や遊脚の足関節背屈など、サイドステップに必要な能力を総合的に高めていくことが重要です。患者さんが日常生活を送る室内環境や動線も考慮して、転倒予防につながる動作パターンの習得を促しましょう。
文献1
Sakineh B Akram et al Turning behavior in healthy older adults: Is there a preference for step versus spin turns? .Gait Posture. 31(1)23-6 .2010.
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