質問
在宅酸素を使用中の患者さんが息切れを訴えたときに、酸素流量を上げる以外の対策には何がありますか?
回答
送風がお勧めです。離床時に呼吸困難感がある患者さんへの対策として、すぐに酸素に頼るのではなく、ハンディファンやうちわなどで風を送ることを試してみるのもよいかもしれません。
呼吸困難感のある患者さんに対して、扇風機の風を顔に送ったところ、主観的な呼吸困難感が軽減したという報告(文献1)や、経鼻カニューレで鼻へ空気を送る刺激だけでも、呼吸困難感が軽減したという報告があります(文献2)。送風が呼吸困難を軽減する具体的なメカニズムは、まだ明確には解明されていませんが、顔の感覚を司る三叉神経への刺激が関与していると考えられています。
ただし、風が強すぎる場合や風が当たる位置によっては、不快感や呼吸困難感を悪化させることもあります。離床時に息切れを訴える患者さんに送風する際には、風の強さ、風が当たる範囲、送風の方向などを個人に合わせて適切に調整すること重要です。酸素投与のしすぎは、身体へ悪影響となるので、息切れですぐに酸素を増やす前に、対策ができると良いと思います。参考にしてみてください。
文献1
Jun Kako, Tatsuya Morita,et al. Fan Therapy Is Effective in Relieving Dyspnea in Patients With Terminally Ill Cancer: A Parallel-Arm, Randomized Controlled Tria. J Pain Symptom Manage.56(4):493-500. 2018
文献2
Amy P Abernethy et al.Effect of palliative oxygen versus room air in relief of breathlessness in patients with refractory dyspnoea: a double-blind, randomised controlled trial. Randomized Controlled Trial Lancet 376(9743):784-93. 2010
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