日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.491 【炎症が減るのは本当か】離床と炎症に関するQ&A

質問

離床や運動に炎症を抑える効果があるって聞いたことがあるのですが、本当ですか?

回答

離床や運動には、炎症性サイトカインの分泌を抑える効果があるといわれています。実際に離床や運動による抗炎症作用については、いくつかのエビデンスが報告されています。

定期的な有酸素運動(最大酸素摂取量の60%、60分/日、週5日、8週間)は、TNF-αやインターロイキン-6(IL-6)などの炎症性サイトカインを減少する効果が認められています(文献1)。

また、高齢女性に対する抵抗運動(9種類の運動、1RMの80%の負荷で10回、3セット)は、血漿内の炎症性サイトカインを減少するなどの報告があります(文献2)。

敗血症性ショックの患者さんに対して、早期離床とベッド上エルゴメーターの介入を行った研究では、炎症性サイトカインや酸化ストレスなどのマーカーは、介入群と早期離床のみの対象群で差はなかったと報告しています(文献3)。

敗血症性ショックという重篤な状態においても、条件を慎重に決めて離床を行えば、炎症を悪化させないものと考えられます。炎症の推移をデータやバイタルサインで確認しながら、離床や運動を行うことは、炎症改善の一助になる可能性があると考え、チームで検討しましょう。

文献1 Mei-Feng Chen et al. Exercise training upregulates macrophage MKP-1 and affects immune responses in mice. Med SciSports Exerc. 2010 Dec;42(12):2173-2179.

文献2 Brian K McFarlin et al. TLR4 is lower in resistance-trained older women and related to infl ammatory cytokines. Med Sci SportsExerc. 2004 Nov;36(11):1876-1883.

文献3 Cheryl E Hickmann et al. Impact of Very Early Physical Therapy During Septic Shock on Skeletal Muscle: A Randomized ControlledTrial. Crit Care Med. 2018 Sep;46(9):1436-1443.

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