質問
貧血の指標である、MCHやMCHCは貧血の分類に使用すると聞いたことがありますが、離床にはあまり関係がないと考えてよいでしょうか?
回答
離床に関係ないと考えてはダメです。貧血の原因を見極めてリスク管理に活かすことができるからです。平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)と平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)は、ご質問の通り貧血の指標で、MCH は一定の容積の赤血球に占めるヘモグロビンの量を、MCHC は濃度を示します。
この結果によって貧血を正色素性の貧血(色素はヘモグロビンのこと)と、低色素性の貧血に分けることができます。色素性の判別には、赤血球の濃度を示すMCHCが使用されます。MCHCが低値ということは、濃度が低いため低色素性となり、低色素性の大多数は鉄欠乏性貧血で、小球性のものが多いのが特徴です。
鉄欠乏性貧血の場合は、鉄製剤や輸血による貧血の改善が離床の前提条件になります。また、MCHCは基準値内でも貧血の可能性があり、正球性正色素性貧血か大球性正色素貧血が疑われます。正球性正色素性貧血は、赤血球が失われる急性出血、もしくは赤血球が造られない腎性貧血などが考えられます。
急性出血や腎性貧血の場合には、貧血症状に加えて、血圧変動など循環動態が不安定になるため、鉄欠乏性貧血よりも離床のリスクが高いと考えられます。ヘモグロビン値から貧血の有無を把握するだけではなく、MCHやMCHCから貧血の原因もみることで、離床のリスク管理に活かすことが大切です。
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