日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.400 【アセスメント結果から異常の確率がわかる】一歩踏み込んでみてみよう!

質問

聴診で副雑音が聴かれたときには、必ず痰が存在していると考えて排痰をすべきでしょうか?

回答

聴診で副雑音が聴かれても、100%痰が存在するとは言い切れません。どんな検査・アセスメントでもそうですが、100%の精度の評価は残念ながらありません。でも「この所見があったらどのくらいの確率で異常が疑えるの?」と考えることは重要です。

例えばご質問にある副雑音ですが、副雑音の有無によって痰の有無を予測する感度は66%と報告されています(文献1)。じゃあ、副雑音が聴こえたら66%の確率で痰があるんだね!といきたいところですが、残念ながら感度はそこまで単純な解釈はできなくて、尤度比という尺度をみる必要があります。尤度比は、私たちが欲しい「〇〇%の確率で異常といえるか」という指標をみるものです。

尤度比は、感度と特異度と評価前の確率から求められますが、評価前の確率が40%、感度66%、特異度74%としたときに、副雑音が聴こえたときに痰があるという尤度比は、2.5となります。この痰があるという尤度比と評価前の確率を計算すると、62%の確率で痰があるということがわかります。所見があるかないかだけではなく、どのくらいの確率で異常が疑えるかがわかると、アセスメントの解釈が変わります。一歩踏み込んでアセスメントで得られた所見をみてみることも大切です。

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