日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.388 【どう関わればいいの?】慢性疼痛に対するアプローチ

質問

慢性疼痛に対する心理的アプローチって難しそうですが、専門家でないとできないのですか?

回答

難しく考える必要はなく、専門家ではなくてもポイントを押さえればできます。慢性疼痛は、要因ははっきりしない痛みが続いている状態で、ADLやQOLの低下につながります。

慢性疼痛に対する心理的アプローチと聞くと、臨床心理士や精神科医が行うもの、と感じるかもしれませんが、それだけではありません。慢性疼痛の原因には「痛みの原因がはっきりわからない」、「どう治したらよいかわからない」、「いつまで続くのかわからない」などので、漠然とした不安が痛みを助長していることが多いと言われています。

認知行動療法による慢性疼痛に対するアプローチは、問題となっている痛みに関するアセスメントや情報に傾聴することから始め、症状が起きている原因についての説明、薬物療法や運動、睡眠といった治療の教育、痛みの変化を客観的に記録して、変化を共有するというのが基本的な流れになります。実際に、慢性疼痛の患者さんに認知行動療法を行った研究では、痛みの軽減効果を認めたという報告もあります(文献1)。

これらは、コメディカルスタッフでも行えるので、まずは、原因のわからない痛みに悩んでいる患者さんに寄り添うこと、心理的アプローチの第一歩だと考えて、関わってみてください。

文献1 Masayuki Inoue et al. The efficacy of a multidisciplinary group program for patients with refractory chronic pain. Pain Res Manag. 2014 Nov-Dec; 19(6): 302–308.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4273708/

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