日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.369 【橈骨遠位端骨折後は背屈が特に重要】可動域制限に対するアプローチに関するQ&A

質問

橈骨遠位端骨折後に家事動作に影響が出ないようにするためには、特にどの方向の可動域確保を意識すればよいでしょうか?

回答

橈骨遠位端骨折後に家事動作に影響を出さないようにするためには、手関節伸展(背屈)方向に可動域制限を作らないよう注意が必要です。その理由は、背屈は手指の屈曲運動に関連するためです。手関節の屈曲・伸展によって、手指が伸展・屈曲する作用のことをテノデーシスアクション(腱固定作用)と呼びます。

家事動作においては、手指の屈曲が特に重要となります。もし、手関節伸展方向に制限をきたすと手指の屈曲運動に制限を生じてしまい、掃除機や包丁といった物品の操作が困難になります。背屈制限をきたさないためには、早期にリハビリテーションを開始することが重要です。

橈骨遠位端骨折に対しては、掌側ロッキングプレート固定法が選択されることが多く、術後早期に行うリハビリとしては手指や手関節、前腕の自動運動を開始します。手術から8週間が経過し、強固な骨癒合が得られてから筋力増強訓練やストレッチを開始していくアプローチが一般的です。可動域の目安としては、日常生活を送る上で必要な可動域は40度といわれているので、背屈40度以上を目標に可動域を獲得していきましょう。

家事動作といっても、負荷の大きいものから軽いものまで幅があるので、まずは乾いた洗濯物を畳む、干すといった動作負荷の少ないものから練習するのがお勧めです。

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