日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.367 【離床Q&A】臨床で困るぶん回し歩行と膝痛

質問

脳卒中患者さんの反張膝以外に、膝の痛みの原因となる問題はありますか?

回答

反張膝以外では、脳卒中患者さんに多い、ぶん回し歩行による膝痛があります。ぶん回し歩行は、下肢の麻痺によって、足関節の底背屈がうまくできないために、つま先を外に向けて脚を伸ばした状態で外側に振り回して遊脚する歩行です。このぶん回し歩行によって起こる膝の問題が2つあります。

1つは薄筋の伸長です。薄筋は大腿内側についている筋ですが、つま先を外に向けて脚を伸ばした状態では過剰に伸張されます。この状態で収縮を繰り返すと、特に膝内側の薄筋の付着部に炎症が起こり痛みを起こします。対策としては、装具などを用いて、ぶん回し歩行をしないようにすることです。

2つ目は恥骨筋の緊張による閉鎖神経の絞扼です。ぶん回し歩行では、本来歩行の振り出しで股関節を屈曲する腸腰筋が使えず、恥骨筋で代償して振り出すため、筋に負荷がかかり、その周囲を通る閉鎖神経を絞扼することがあります。閉鎖神経が絞扼されると、支配領域である膝内側の痛みを訴えることがあります。対策としては、薄筋同様にぶん回し歩行を改善することが重要ですが、恥骨筋と内転筋が癒着を起こして閉鎖神経を絞扼するため、恥骨筋と内転筋の間(大腿内側)を徒手的にモビライゼーションなどで緩めることも有効です。

筋と神経に着目して、痛みの改善に取り組んでみてください。

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