日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.365 【泡の変化がポイント!】胸腔ドレーン挿入下での離床

質問

胸部レントゲンで気胸が確認された患者さんが、胸腔ドレーンを挿入して治療となりました。胸腔ドレーン挿入下での離床は進めても大丈夫ですか?

回答

胸腔ドレーン挿入時での離床は可能ですが、いくつか注意点があるので解説します。中等度以上の気胸では、胸腔内に溜まった空気を脱気するために胸腔ドレーンが挿入されます。胸腔内から排出された気体は、排液ボトルから水封室へ移行し、水封室の液体で気泡として確認されます。この気泡をエアリークと呼びます。

通常、胸腔ドレーンの挿入直後から連続した気泡がみられ、気胸の状態が改善されていくと、脱気される空気の量が減少します。それに伴い気泡が断続的な気泡(小さく均一な気泡)へ変化していき、胸膜に開いていた穴が治癒すると気泡は消失します。挿入直後はブクブクと気泡がみられますので、医師に確認後、離床を開始したほうがよいでしょう。気胸の患者さんの離床では、動作によって気胸が再発・悪化することがあることを、認識しておくことが大切です。

再発・悪化を予測するポイントは「泡」をみることです。断続的な気泡が連続した気泡に変化した場合は、気胸の再発やチューブ外れなどによるドレーン回路の気密性の不良が疑われます。断続的な気泡が減少しない場合は、気胸が治癒していないことを示唆します。また、泡の状態のほか、水封室の細管の水面も観察しましょう。通常は、水面が呼吸に合わせて上下に移動します(吸気時は上方へ、呼気時は下方へ移動します)。この呼吸性移動は、胸腔ドレーンが胸腔内に存在し、ドレーン回路の気密性が保たれていることを意味します。

呼吸性移動が見られない場合はドレーンの閉塞などの異常が疑われます。気胸で胸腔ドレーンが挿入されている患者さんの離床は、排液ボトル(水封室)のエアリークの状態と呼吸性移動を観察しながら進めましょう。

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