質問
「エビデンスに基づく最新の治療・リハビリ COPD・慢性呼吸不全患者の治療・リハビリ」講座での質問
COPDの胸部レントゲン画像所見の特徴で滴状心があると思いますが、滴状心になると心機能は低下するのでしょうか?
回答
結論からいうと、滴状心でも心機能は低下せずに保たれます。COPDは息を上手く吐いて換気ができず、肺に空気が残って膨張しやすくなります。胸部レントゲンで見ると、横隔膜が通常の位置から下がって平らになり(横隔膜平低化)、心臓はパンパンに膨らんだ肺に押されて細長く変形します。これが滴状心です。滴下直前の水滴のような形をしていることからこの名前がついています。一見すると心臓の機能に影響を与えそうですが、実際にはそこまで心機能に悪影響を及ぼさないことが分かっています。
しかしCOPDが増悪すると、肺組織で炎症が起きてサイトカインが発生し、体の各臓器を巡ることでさまざまな障害を引き起こすリスクが高くなります。その一つに心臓への影響があり、左室機能障害を併発して心不全や虚血性心疾患などにつながる可能性が出てくるので注意が必要です。
滴状心は心機能に影響しないから、ドンドン離床!ではなく、COPD患者さんでは、呼吸に加えて、循環機能も注意深くアセスメントしてみてください。
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