日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.325 【現象より原因!】離床を考えるときの陥りがちなワナ

質問

起立性低血圧でなかなか離床できない患者さんがいます。何度で何分ヘッドアップを行えば改善できますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

「何分」「何回」と全てのパターンにあてはめようとする思考に陥ったとたん、原因を考えるプロセスが失われてしまいます。離床できない原因を考えたうえで対策をとることが重要です。

起立性低血圧の原因として最も大きいものが、脱水(正確には循環血液量の低下)です。脱水が原因の場合には補液することで、めまいやふらつきといった前失神症状は改善します。水分In Out バランスの評価や、フィジカルアセスメントで痰の粘性増加・皮膚の乾燥などの症状をとらえるなど、多角的に評価する必要があります。

次に、心機能の低下や自律神経系の障害を考えます。心機能低下であれば、血圧や手足の冷感、自律神経障害であればパーキンソン病や脳卒中の既応を評価し、薬剤による改善をチームとして考えていく必要があります。

重要なのは、”離床する”という大きな目的を実現するために、それを阻害する原因をアセスメントし、改善に取り組むことだと考えます。回数・時間を決める前に原因を考えて、対策をチームで話し合ってみてください。