日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.315 【アウ値の理由を解説!】脱水の血液データに関するQ&A

質問

脱水時にBUN/Cr比の値が大きくなるのはなぜでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

ひと言でいうと、脱水時にBUNは再吸収が増え、Crは変わらないためです。腎機能の血液検査であるBUNとCrは、組み合わせて評価することで脱水の有無の指標として活用されています。BUN/Cr比の基準値は10以下、脱水時には20以上になるといわれていますが、それではなぜ脱水時にはBUN/Cr比が開大するのでしょうか?

ヒトの体内は脱水になると、尿細管で水分の再吸収が促進され、体内に水分を留めるような働きが生じます。その際にBUNは水分を同じように尿細管で再吸収されるために、血中のBUNが増加する、つまり血液データ上でBUNは高値を示すことになります。対してCrは体内が脱水であっても関係なく、尿細管で再吸収されずに尿中に排泄されます。脱水時にはBUNが増大するのに対してCrは変わらない、これがBUN/Cr比が開大する理由です。

臨床的にはBUN/Cr比だけで脱水と判断することはなく、日々のIn(飲水量、輸液投与量)とOut(尿量、不感蒸泄量)の差や体重を確認したり、ハンカチーフサインや舌の乾燥具合をみたりと、フィジカルアセスメントと組み合わせて、総合的に“脱水”の評価を行うことが重要です。是非、アセスメントに活かしてみてください。