質問
脊髄不全損傷の患者さんで、歩行時の反張膝がなかなか改善しませんが、どのようにアプローチすればよいのでしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
歩行時の反張膝に対するアプローチ方法としては、「反張膝の原因に対するアプローチ」と「短下肢装具を活用したアプローチ」の2つがあります。
まず「反張膝の原因に対するアプローチ」は、特に下腿三頭筋や前脛骨筋などの下腿筋、ハムストリングスや大臀筋などの大腿後面筋、体幹筋や大腿四頭筋の筋活動を促していくのが一般的です。ただ脊髄不全損傷で感覚機能や運動機能が低下している患者さんに対し、それぞれの筋活動を促していくのは時間や労力を要します。
そこで2つ目の「短下肢装具を活用するアプローチ」をおすすめします。脊髄不全損傷の患者さんが反張膝を起こす原因としては、膝伸展屈曲筋力の低下や足関節の可動域制限等が考えられるので、筋活動や関節運動をサポートする目的で装具を装着するのは有効なアプローチ方法です。短下肢装具の効果としては、特に大腿四頭筋や下腿三頭筋の筋活動を促進し、足関節背屈運動への補助が入ることで膝関節の屈曲を手助けしてくれます。なかなか反張膝が改善しない患者さんに対しては、装具を作成して環境面を強化するのも一案です。是非、試してみてください。
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