日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.280 【セットポイントを見極めよう!】発熱時のクーリングに関する Q&A

質問

重症な患者さんが高熱の場合には、積極的にクーリングで冷やしたほうがよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

高熱=クーリングとは考えず、「セットポイント」を見極めて行うのがお勧めです。

まず、感染症が発生すると、侵入した菌やウイルスを攻撃するため、体温の設定(セットポイント)を上昇させます。

仮に、セットポイントが38.5度に上げられると、身体はこの体温になるまで上昇させようと、震え(シバリング)や皮膚血管収縮などの熱放散抑制反応を起こし、体温を上昇させます。

この時期にクーリングを行ってしまうと、セットポイントまで体温が上がりきれず、身体はさらに熱を産生するため、より震えなくてはならないことになります。

つまり、クーリングは逆効果だということがわかります。

一方で、炎症が改善すると、セットポイントは平熱に戻ります。

この時期には、積極的に熱を放散させるため、発汗や血管拡張が起こり、クーリングもこの時期に使用するメリットがあります。

高熱時のセットポイントと身体の変化を理解した上で、適切なケアを心がけましょう。