日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.271 【【呼吸筋にも注目!横隔膜の筋萎縮をアセスメントする方法】

質問

人工呼吸器が装着された患者さんでは、呼吸器のサポートが強すぎると横隔膜の筋萎縮に注意が必要とのことでしたが、筋萎縮を予防するためには、どのようなアセスメントを行えばよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

横隔膜が筋萎縮を起こす主要因として、侵襲と不動の2つが挙げられます。特に侵襲の強い人工呼吸器装着患者さんの場合は、強制換気により横隔膜の自発的な収縮機会を奪ってしまうため、筋萎縮のリスクが高くなります。まず、人工呼吸器の強制換気の度合いをアセスメントしてみてください。もし、アセスメントの結果、強制換気ばかりであれば、自発呼吸を適度に戻しつつ、原疾患の侵襲をコントロールすることで、筋萎縮を防いでいきましょう。

さらに、詳しく横隔膜の筋萎縮のリスクをみるためには、超音波がお勧めです。具体的には、吸気時と呼気時の横隔膜の厚さから、「横隔膜収縮率」をみることで、筋萎縮を見抜くことができます。横隔膜収縮率は、吸気時の横隔膜厚-呼気時の横隔膜厚÷呼気時の横隔膜厚×100で求めることができ、心臓でいう左室駆出率のようなイメージです。横隔膜収縮率は、正常では15~30%ですが、14%以下では人工呼吸器のサポートが強すぎて筋萎縮のリスクとなるため、チームでサポートの強さを検討してみてください!

人工呼吸器が装着された患者さんで、横隔膜の萎縮が心配な方は、横隔膜収縮率を参考にすることをお勧めします。