日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.260 【大脳基底核の障害をどう考えるか】脳画像に関する Q&A

質問

視床や内包が重要ということはわかりましたが、近くにある線条体が障害されると、離床にどのような影響があるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

線条体は被殻と尾状核を合わせた場所の名前で、画像では緑色で示す部分です。線条体の障害では、「離床のやる気の低下」と「スムーズに動けない」という、2つの問題が起こることが予測できます。その2つの問題のキーとなるのが“ドーパミン”です。

ドーパミンはやる気、快楽、行動・運動の調節などに関連した脳内の物質で、このドーパミンが不足すると無欲(やる気が起きない)状態になります。また、線条体は運動神経(錐体路)に対して、ほどよくブレーキをかけて、スムーズな動きができるように働いています。これが障害されることで、不随意運動や筋緊張異常など、スムーズな動きが障害されてしまうのです。

線条体など大脳基底核の障害では、本人の意思ではなく、上記のような2つの問題が起こることがあるので、障害を念頭に、離床の援助にかかるようにしましょう。