日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.252 【ゼッタイはない!】離床を積極的に進めない方がよい場合とは

質問

脳卒中の患者さんでは、頭蓋内圧のコントロールや肺炎予防の観点からなるべく離床を進めたほうがよいことがわかりましたが、積極的に離床しない方がよい場合もありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

脳卒中の患者さんでも、積極的に離床をしない方がよいケースが、いくつか考えられます。特に、内頚動脈や脳底動脈など太い動脈の狭窄では注意が必要です。

脳卒中治療ガイドラインでも、主幹動脈(内頚動脈や脳底動脈)の閉塞や狭窄が高度にある症例では、脳血流維持を目的に水平臥位を考慮すると記載があります。頭部の位置が心臓より高くなる離床では、脳血流が低下するリスクがあります。主幹動脈の高度狭窄があると、脳血流が低下して脳梗塞を進行する可能性があるのです。

脳卒中患者さんの回復に離床は重要ですが、病態によっては悪化につながることもあるので、「脳卒中」ではなく、病型の特徴にも注意して離床のリスクを考えてみてください。