日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.238 【姿勢に注目!気胸のレントゲン 読影のポイント】

質問

気胸の読影ポイントにディープサルカスサインがあると学びましたが、臨床では、気胸と診断されていてもディープサルカスサインが見えないことがあります。なぜでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

ポイントは撮影時の「姿勢」にあります。気胸は、何らかの原因により、壁側胸膜と臓側胸膜の間の胸膜腔(胸腔)に空気が貯留した状態です。肺虚脱が軽度~中程度気胸の場合、撮影する体位の違いにより所見が異なります。

「立位」で撮影した場合は、重力で肺が下方にさがった状態で胸腔に空気が入るので、上肺野で肺紋理が消失した所見(左図)となります。

「背臥位」で撮影した場合、虚脱した肺は背側に移動するため、漏れた空気は胸腔内の高い位置(肺底部や縦隔寄りの腹側)(右図)に多く貯留することになります。背臥位では、肺底部(横隔膜上)の腹側に、空気が多く貯留することで肋骨横隔膜角が深くなるため、ディープサルカスサインが見られやすいということになります。

ディープサルカスサインには明確な基準がないので、以前のX線画像と比較することが大切です。