質問
人工呼吸器装着患者さんの酸素濃度(FIO2)の値が、どのくらい高いと離床を控えるべきという基準はありますか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
FIO2のみでの離床の判断はしませんが、先行研究によるとFIO2「0.6」がkeyになっており、離床の基準を示した報告において、0.6まではLow risk(リスクが低い)とされています1)。
では、FIO2が0.7以上だと離床は絶対禁忌となるのでしょうか?
そうではありません。0.7以上では、有害事象のリスクはやや高くなりますが、離床することのメリットがそれを上回る場合は、予防策や禁忌事項の把握などのリスク管理をしっかりとした上で実行することもあります2)。
信号に例えると、0.6までを青信号だとすれば、それ以上は黄色信号、つまり注意しながら離床を検討することもあるということになります。
しかし、FIO2のみを離床の判断基準にしてしまうことは非常に危険です。
重要なのは、なぜ今、FIO2が高い状態なのかという病態の把握はもちろん、単一のパラメーターだけに捉われず、その他の指標(全身状態やバイタルサイン、呼吸数や換気量など)をトータルで考えて離床を進めていくことです。
自信がなければ、ベテランの先輩や医師に聞きながら行い、自分自身の臨床力を養っていってくださいね!
文献
1) CL Hodgson, et al. Expert consensuss and recommendations on safety criteria for active mobilization of mechanically ventilated critically ill adults.Crit Care 18:658,2014.
2) 曷川 元:寝たきりゼロへ進化中 実践!離床完全マニュアル2.慧文社:117,2018.
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