質問
高カリウム血症では、細胞内から細胞外へのカリウムの移動が起こりづらいことはわかりましたが、それがなぜ不整脈につながるのでしょうか。
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
高カリウム血症では、心筋の興奮性が低下し、心停止に至るリスクがあります。
その理由は「ナトリウムが細胞内に入りづらくなる」からです。
カリウムの異常でなぜナトリウムが?と思われるかもしれませんが、カリウムは細胞内に多い電解質で、常に細胞内から細胞外に移動し、細胞内の電位を下げる働きをしています。
このカリウムの移動で細胞内の電位が下がると、細胞外に多いナトリウムが一気に細胞内に入ることができ、心筋は興奮して収縮することができるのです。
しかし、高カリウム血症ではカリウムが細胞内から外に移動できず、その結果細胞内の電位がさがらず、ナトリウムが細胞内に入りづらくなり、心筋の興奮が起こらず、心停止へとつながるのです。
高カリウム血症のときの心電図変化は、T波が高くなるテント状T波やQT間隔短縮がみられます。
心電図変化がある場合には離床を立ち止まり、カリウム値の確認や治療の必要性をチームで検討するようにしましょう。
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