日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.198 【気が付きにくいカルシウムの異常】注意すべき心電図変化とは

質問

カルシウムの異常では、症状がでにくいことを経験しますが、症状が無ければ、注意して離床を進めてよろしいでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

ご質問の通り、カルシウムの異常ではかなり重症になるまで症状がないことがありますが、急に不整脈を生じるリスクがあるため、心電図変化には要注意です。

低カルシウム血症では、心筋・神経・骨格筋が興奮しやすく、不整脈やけいれんが生じやすくなります。これらは、重度の低カルシウム血症(2.6mg/dL未満)でのみ報告されているようです。軽度の低カルシウム血症では、心電図のQT時間が参考になります。

QT時間が延長しているとtorsade de pointes(トルサード・ド・ポワンツ)と呼ばれる、重篤な不整脈が発生する危険性があります。特に交感神経が活発になる運動は、リスクとなるので注意が必要です。高カルシウム血症は、12.0mg/dLまではほぼ無症状ですが、筋力低下や易疲労性がみられることがありますので負荷量に留意しましょう。12.0 mg/dL以上では、意識障害などが出現し危険です。

症状やパラメータの変化に注意して、離床レベルを検討するようにしましょう。