日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.193 【知っているようで知らない血液データ ALTとASTの使い分け】

質問

肝機能の指標であるASTとALTは、基準値も似ていていて、どちらも肝機能を反映していますが、両方見ないといけないのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

結論からいうと、両方見るのがお勧めです。

なぜかというと、この両方のデータをみることで、肝機能障害の「急性」か「慢性」かを見分けることができるのです。

ASTが有意に変動している場合は「急性」、ALTが有意に変動している場合は「慢性」の肝障害といわれています。

これは、ASTの方が半減期が短いために、急性の変化を反映していると考えることができます。

急性肝障害では、出血傾向など全身状態が不安定になる可能性があるため、積極的な離床は控えた方がよい場合が多いです。

一方で慢性肝障害の場合には、貧血や倦怠感に注意しつつも、サルコペニアや廃用予防の観点から、離床を行いADLの維持を考えていきます。

このように、ASTとALTの変動を見極めて、離床の判断に活かしてみてください。