日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.192 【腎臓と薬の深イイ話】薬剤の効果は透析の影響を受ける?

質問

血液透析の患者さんは、薬の効能が下がると聞いたことがあるのですが、本当にそうなのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

結論からいうと、透析は薬の効果を下げます。その理由は、透析により薬の成分も除去されるためです。

しかし、全ての薬剤の効果が下がるわけではありません。薬が除去されるかは、色々な要因が影響しますが、「分子量」と「蛋白結合率」が代表的な要因です。一般的には分子量が500以上、蛋白結合率が高いと透析により除去されにくく、例えばバンコマイシン(グリコペプチド系抗生物質)は分子量1800であるため、蛋白結合率は低いもののほとんど除去されません。

また、プロプラノロール(アドレナリン作動性効果遮断薬)は分子量259ですが、蛋白結合率が90%以上と高いため透析により除去されにくいです。

このように、血液透析を行っている患者さんに対しては、分子量や蛋白結合率の影響を考慮して、薬剤の選択、投与量の調節が行われています。

しかし、透析患者さんを離床する際には、薬が効いているか、自らの視点でチェックすることが重要だと思います。