日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.179 【心不全で離床はやっぱり無理?】血液データから考える離床レベル

質問

脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値が100以上は心不全を疑うとのことですが、離床を控えた方がよい値はどのくらいでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

BNPは、心臓に負荷がかかると分泌される循環調整ホルモンで、左室収縮能や拡張能と相関しています。
BNP値は100以上を示すと心事故が多くなるので、離床を一旦止める目安にしてください。ただし、安静にするということではなく、離床のレベルを検討する目安だと考えてください。

実際には、BNP値と離床レベルの明確な基準はありませんが、BNP値とNYHA分類には相関があるとするAlan1)らの先行研究があります。

心不全のNYHA分類に対するBNP値が、それぞれ、NYHA I:244pg/mL、NYHA II:389pg/mL、NYHA III:640pg/mL、NYHA IV:817pg/mLに相当するとまとめているので、参考にしてください。
ちなみに、NYHA I:症状無し、NYHA II:階段昇降で症状出現、NYHA III:平地歩行で症状出現、NYHA IV:安静時から症状出現、という目安です。

また、BNPの値のみで離床レベルを判断するのではなく、患者さんの臨床所見などと合わせて判断するのが大切です。

主治医と相談して離床を進めていきましょう。

1) S Alan, et al:Rapid Measurement of B-Type Natriuretic Peptide in the Emergency Diagnosis of Heart Failure.N Engl J Med 347:161-167,2002.