日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.172 【レントゲンでは見えない胸水?】CT画像のメリット

質問

CTでは胸水が見えているのに、胸部レントゲンでは胸水がわからない症例がいました。どのように解釈すればよいのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

ご質問への回答としては、胸水は恐らく溜まっているのですが、少量のため、胸部レントゲンでは見えにくかったと考えられます。

その理由を解説していきます。

胸部CT画像輪切りにして胸の全体を見ることができるので、少量の胸水でも見つけることができます。
しかし胸部レントゲン画像の場合、立位正面像で認識可能な胸水量は150~200mLと言われています。
胸水は下からたまってくるので、胸水が少ないうちは、正面像では横隔膜の影(正面からみて横隔膜の後ろ側)に隠れてあまり見えませんが、200mLを超えてくるとCP angle付近に円弧として見えるようになります。

胸水がある患者さんの離床は、多量の胸水がある場合、肺葉が胸水によって押しつぶされ、圧迫性の無気肺を起こす危険があるため、胸水穿刺を行うかどうかを医師と相談して進めましょう。