日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.171 【同じように見えるけど実は違う!様々な心房細動とそのリスク】

質問

心房細動(AF)には持続性や発作性などの種類があることはわかりましたが、リスクや治療はあまり変わらないと考えてよいのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

結論をいうと、AFの種類によってリスクが変わります。
代表的なAFの種類として、「初発AF」「発作性AF」「持続性AF」があります。

初発AFは心電図検査において、初めてAFが確認された場合のことで、この場合は離床よりも、AFのコントロール・治療が優先となります。初発から7日以上持続する場合は、自然停止する確率は極めて低いとされています。

発作性AFは、AF発生後7日以内に洞調律に復帰するもので、多くは48時間以内に洞調律に戻ります。発作性AFから洞調律に戻っても、進行して持続性AFになることもあるため、離床を行う場合にも、治療の有無や脈・自覚症状の変化に注意が必要です。

最後に持続性AFは、AFが発生してから7日以上AFが持続するものです。持続性AFの場合でも、洞調律への復帰を目指して、除細動やカテーテルアブレーションを行うことがあり、洞調律への復帰率も高いです。
しかし、持続性AFの場合は、心内血栓により脳塞栓症の発症や、離床により頻脈を誘発して、血圧低下を起こしやすいため、治療の経過や循環動態に中止して離床をすすめる必要があります。

臨床では「AF」とひとくくりにせず、その種類にも注目してみてください。