質問
先日心電図を見ていたときに、R波の波高が高くて読みづらかったので、心電図の縦軸(1メモリ 0.1mV)の感度設定を1メモリ 0.5mVに変更したら、上司に注意を受けました。変更してはいけないのでしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
感度設定の変更することは悪いことではありませんが、いくつか注意点がありますので、解説していきます。
例えば、12誘導心電図などで波形の波高(R波の高さ)が高い時に、上下の誘導と重なりR波の波高を評価することが難しいことがあります。そのような場合は波形の感度を下げて、波高を低く設定することもあるので、感度を操作すること自体は問題ありません。
ただし、感度は10mm=1mVが基準設定となりますので、変更したことを記録に残したり、また測定後は元の設定に戻すことを忘れてはなりません。
さらに大事なのは、波高の評価は“基準値に換算して評価する”ことです。感度を基準より低く、あるいは高く設定した場合は、その波高で評価するのではなく、基準値に換算して評価してください。例えば感度を0.5mV(感度1/2)に設定して、V5誘導のR波の波高が10mmの場合、波高10mmと考えず、倍の20mmと評価してください。左室肥大などで波高の高さの評価がポイントになるような判読の場合は注意が必要です。